栄養と免疫の宝庫!母乳の神秘を知ろう。
「母乳には栄養や免疫が含まれている」ということは、
今や常識と言っても過言ではないほど、
多くのママさんがご存知のことだと思います。
ですが、具体的にどのような栄養素や免疫成分が含まれていて、
どのような働きをしているのか
というところまでは知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、母乳に含まれる栄養や免疫成分について
詳しく見ていきたいと思います。
☆栄養と免疫がたっぷりの貴重な「初乳」とは?
母乳に含まれる栄養や免疫について語る上で、絶対に外せないのが「初乳」です。
初乳とは、産後すぐから1週間ほどの間に分泌される母乳のことで、
栄養や免疫がたっぷりと含まれていることで知られています。
特に、初乳に含まれている、IgA抗体、たんぱく質、ラクトフェリン、コレステロール、鉄分、オリゴ糖、カルシウム、リン、ナトリウム、ビタミンA、E、B12、βカロチンは、その後の母乳(成乳)よりも高濃度で含まれていると言われています。
初乳が黄色っぽい色をしているのは、
β-カロチンが母乳(成乳)に比べて5倍も多く含まれているためなのだそうですよ。
また、IgA抗体は消化器官や呼吸器管の粘膜の免疫を高め、
細菌やウイルスから生まれたばかりの赤ちゃんをしっかりガードする働きをしてくれます。
なおかつ、その効果は約半年間も続くという優れモノです。
IgA抗体は母乳(成乳)にも含まれていますが、
その量は断然初乳が多いので、
赤ちゃんに初乳を飲ませてあげることが大切なのですね。
他に、ラクトフェリンも初乳にとても多く含まれており、
その量は母乳(成乳)の3倍であると言われています。
ラクトフェリンにもウイルスから赤ちゃんを守ってくれる働きがあり、
大腸菌やブドウ球菌、ヘルペスウイルスやC型肝炎ウイルスをはじめとした
多くのウイルスに対しての免疫力を高めてくれます。
このように、初乳には新生児を守るための栄養や免疫がぎっしり詰まっているのですね!
☆母乳に含まれている栄養について
初乳が終わった後の母乳にも栄養がたくさん含まれています。
主に、たんぱく質(カゼイン、ホエイ)、ラクトフェリン、脂肪分、乳糖、ビタミン(脂溶性ビタミンと水溶性ビタミン)、カルシウム、リン、ナトリウム、酵素(リパーゼ)などが含まれており、
母乳には赤ちゃんが成長するために必要な栄養素が
すべて含まれていると言われています。
また、母乳のすごいところは、赤ちゃんのその時々の状態や成長具合によって
成分の含有量が絶妙に変わるという点です。
例えば、未熟児として産まれた赤ちゃんのママさんの母乳は、
未熟児の赤ちゃんが不足しがちなたんぱく質や電解質が豊富に含まれており、
成熟児のママさんの母乳とは成分が全く異なっています。
我が子に一番合った栄養を常に届けることのできる母乳は、
まさに赤ちゃんにとっての「完全栄養食」ですね!
その他、母乳に含まれている消化酵素であるリパーゼは、
消化しにくい乳脂肪の消化を助ける働きをしており、
赤ちゃんの未熟な胃腸でも負担をかけずに栄養を消化吸収することができるようになっています。
☆母乳に含まれている免疫について
初乳と同様に母乳にも、免疫力を高める様々な栄養素や抗体が含まれています。
中でもラクトフェリンは、赤ちゃんの腸の中で鉄分と結合し、
腸管からの鉄分の吸収率を高める働きがあります。
鉄分の吸収率が上がると腸内に残る鉄分が少なくなり、
大腸菌が増えるのを防いで善玉菌を増やすことができるのです。
免疫細胞の約70%は腸管に集まっていると言われており、
腸管内の善玉菌が増えることによって
免疫細胞を活性化させることができるという仕組みです。
また、赤ちゃんが風邪を引いてしまった際には、
ママの母乳の中にその風邪のウイルスに対する抗体や免疫成分が含まれるようになる、
とも言われています。
母乳を飲んでいる赤ちゃんは気管支炎や肺炎を起こす頻度が低い
というデータもあることから、
母乳は赤ちゃんの風邪薬としての役割も果たしていることが分かります。
母乳自体にも殺菌力があり、
母乳に浸した綿棒を赤ちゃんの鼻の入り口付近につけておくことで
マスクの代わりになったり、鼻づまりを解消させる効果があることでも知られています。
こうして詳しく見てみると、
栄養や免疫がたくさん含まれている母乳の偉大さに改めて気がつきますね。
まだまだ体の機能が未熟な赤ちゃんですので、
母乳を通して栄養や免疫をたくさん届けてあげたいですね。