乳腺炎の原因菌MRSAの繁殖が一番やっかい
細菌感染性の乳腺炎は、中で溜まった母乳に細菌が繁殖してしまって起こるのですが、
その細菌とは一体どんなものなのでしょう。
また、乳腺炎で切開をしたママさんから
「検査でMRSAが検出されて大変だった」なんて話を聞いたことがありませんか?
今回は、乳腺炎の原因菌のうち
黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、MRSAについて見ていきたいと思います。
乳腺炎の原因菌|黄色ブドウ球菌とは
まず、ブドウ球菌とはその名前の通り、顕微鏡で見るとブドウの房のような形状をしています。
乳腺炎の原因菌では、黄色ブドウ球菌が最も多く、
乳房の皮膚や乳管に定着しやすいと言われています。
常在菌で、皮膚や鼻、口腔や喉の粘膜などの私たちの体や、空中の塵埃にも広く分布しています。
健康な人に対しては特に害はありませんが、
免疫力が弱っている人に対しては病原性を示します。
特に産後は体が疲れていますし、
夜間の授乳で睡眠不足になっていますので、要注意ですね!
連鎖球菌と並んで化膿の代表的な原因菌と言われ、
体に炎症を起こし、敗血症を引き起こすおそれもあるようです。
多くの毒素を産出することで、乳腺炎や食中毒に限らず、
様々な疾患を引き起こすことが知られています。
溶連菌よりも、ブドウ球菌の方がより強い炎症作用を起こすとされています。
乳腺炎の原因菌|連鎖球菌とは
連鎖球菌も顕微鏡で見ると、連なった鎖のように見えることから、その名前がつけられています。
乳腺炎の原因菌として、黄色ブドウ球菌に次いで2番目に多く、乳腺房腔に定着しやすいと言われています。
乳腺炎の原因となるのは、「A群β溶血性連鎖球菌」で、「化膿連鎖球菌」や「溶連菌」とも呼ばれています。
溶連菌は咽頭炎や中耳炎などでも、よく聞く細菌の名前ですよね!
別名「人食いバクテリア」とも言われ、溶血毒素をつくり出して赤血球を溶かしてしまったり、発熱毒素などによって発熱や発赤、猩紅熱などの症状を起こすことが知られています。
ブドウ球菌と同様、よくいるありふれた菌で、酸素がある場所でも、ない場所でも生存することができます。
乳腺炎の原因菌|MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
MRSAとは黄色ブドウ球菌の一種で、なんと、ほとんどの抗生物質が効かないという恐ろしい細菌です。(多剤耐性菌)
細菌に感染すると、治療のために抗生物質が使われますが、細菌もそれに対抗して抗生物質を無効にする物質をつくり出してきます。
その繰り返しにより、1980年代に、ついにメチシリンという抗生物質が効かない「MRSA」が出現してしまいました。
ですが、基本的には体力をつければ、自分の免疫力でMRSAに討ち勝つことができますし、既にMRSAに有効な抗生物質も普及していますので、よほど重症でなければ、過剰に怖がる必要はないと思います。
また、実際に乳腺炎で、膿の中からMRSAが検出されたママさんによると、授乳も続けられる場合があるそうで、万が一母乳からもMRSAが検出されたとしても、健康な赤ちゃんが飲む分には害はないので大丈夫とのことでした。
3つの細菌ともにありふれた菌であり、乳腺炎の予防には、体力をしっかりつけることも大事なのだと気づかされますね。