乳腺の腫れにはいろいろ種類・個人差がある。

乳腺は、母乳をつくる組織(小葉)と母乳を乳頭まで運ぶ管(乳管)から成り立っており、ぶどうの房のような単位をつくっています。(腺葉)

この乳腺には、良性や悪性の様々な病気が発症することが知られています。

今回はその中でも、乳腺が腫れる症状のものに注目して色々見ていきたいと思います。

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乳腺炎による乳腺の腫れ

乳腺炎とは、乳腺の炎症のことで「乳房にしこりができて痛くなったり、赤くなって腫れてしまったり、時に高熱を伴って授乳に支障をきたすこと」と定義されています。

ところで、乳腺炎の「しこり」はどのようにできるのかご存知ですか?このしこりの中身は溜まった古い母乳で、乳腺のどこか一カ所が詰まってしまうことにより、母乳が流れなくなり溜まってしまって、しこりになります。

また、その部分や周辺の乳腺が腫れて炎症を起こし、痛みが出ます。乳腺炎の時は、ちょっとした刺激でも胸に激しい痛みを感じます。
赤ちゃんや上の子がちょっと触っただけでも、思わず声が出てしまうほど痛いですよね。そして授乳の時には、母乳が奥から湧き出てくる感じとともにぞわっと戦慄が走るような激しい痛みを感じることがあります。

これは、腫れて炎症を起こしている乳腺の中を母乳が通るときに感じる痛みなのだそうです。乳腺炎になってしまった時は、専門家の治療を受けたり、赤ちゃんにたくさん母乳を飲んでもらって乳腺の詰まりを解消する必要があります。

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乳腺症による乳腺の腫れ

乳腺が腫れるのは、乳腺炎の時だけではありません。「乳腺症」でも乳腺の腫れや痛み、しこりといった症状が出ます。

乳腺症とは、女性ホルモンの乱れが原因で乳腺に起こる様々な病変の総称で、ホルモンの分泌が増える生理前には症状が強くなり、生理後には和らぐという特徴があります。

 

生理前に胸が張ったり、少し痛くなったりすることは通常でもよくあることですよね。その症状がより強く出たものが乳腺症で、乳腺が硬く腫れて痛みを感じます。

3040代の女性によく起こり、乳腺の病気の中では最も発症率が高いとされています。
乳腺症という病名がついてはいますが、良性であり、女性ホルモンの影響によるところから、最近では乳腺症を病気として考えずに「生理的なもの」として捉える考え方もあります。

そのため、乳腺症と診断されても特別な治療は必要ありません。ただし、痛みが強く、患者さんの希望がある場合には、乳腺に作用するホルモンをブロックする薬剤が処方されることもあります。

また、乳腺が腫れることによってできたしこりが、乳ガンのしこりとよく似ていて鑑別し難いことから、診断のためには各種検査が必要になります。なお、乳腺症から乳ガンに移行することはほぼないと言われています。

 

男性も乳腺が腫れる!?

なんと男性でも乳腺が腫れることがあるようです!
女性の胸ように膨らんだり、母乳を出したりすることは勿論できませんが、男性の胸にも乳腺組織が確かに存在しています

ですので、当然乳腺が腫れることもあれば、乳ガンになってしまうこともあるようです。乳ガンは女性特有の病気というイメージがありますので、びっくりですよね。

しかし、男性の乳腺が腫れる原因のほとんどは乳ガンではなく「女性化乳房」によるものです。
女性化乳房には、思春期に症状が起きるものと、成人以降に起こるものの2種類があります。思春期に起きるものは「思春期乳腺肥大症」と呼ばれ、乳腺が腫れる、シャツに当たると痛いなどの症状がありますが、数ヶ月ほどで自然に消失します。

一方、成人以降に起きるものは、肝機能障害による内分泌異常や代謝異常、薬の影響によるものなど様々な原因で起こります。
原因となる薬には、女性ホルモン、ジギタリス(強心剤)、血圧の薬や胃潰瘍の薬、精神薬など色々ありますが、これらの薬の服用を中止したり、他の薬と変更してもらうことで女性化乳房の症状を治癒することができます。

乳ガンとの区別をつけるためにも、専門医に診てもらうことが大切です。

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