乳腺の仕組みと炎症 まずは勉強
母乳育児中のママにとって深刻な悩みにもなり得る、乳腺炎。
乳腺炎とは文字通り、乳腺の炎症のことですが、「乳腺」とは一体どのような仕組みや働きをするところなのでしょう?
そして、そもそも「炎症」とは具体的にどういう状態のことなのでしょうか。
ここでは、乳腺の仕組みと炎症について掘り下げて見ていきたいと思います。
乳腺の仕組み
乳房は大きく分けると、「乳腺」と脂肪と皮膚とで成り立っています。
母乳をつくる組織である「小葉」、その小葉が集まってできている「腺葉」、腺葉から乳頭までつながっていて母乳を運ぶ管である「乳管」を総称して、「乳腺」と呼びます。
乳腺組織の数は胸の大きさに関係なく、みんな15~20個ほどだとされていますが、乳腺組織の発達の度合いと皮下脂肪の量によって、胸の大きさや形が決まってくるそうです。
また、乳腺は生理周期によるホルモンの変動によって、増殖したり消えたりしており、硬さも変化しています。乳腺は20歳代をピークに退化して徐々に脂肪組織に変わっていってしまうそうです。
母乳の出る仕組み
乳房の基底部(付け根の面)から運び込まれた「血液」は、乳腺で「母乳」につくり変えられます。乳腺でつくられた母乳は、乳管を通って、乳管洞(乳頭の出口の直前にある母乳をためておけるところ)にたまります。
赤ちゃんが乳首を吸うことで乳管洞が押され、母乳が出てきます。母乳を一時的にためておける便利な乳管洞ですが、最近ではなんと、乳管洞という組織は存在しないという説があるようです。
ですが、そちらの説の場合でも、赤ちゃんが産まれると乳管が太くなり、出口近くの乳腺に母乳がためられるとのことで、基本的な仕組みは同じですよね。
また、母乳は血液が元になってつくられているようなのですが、どうして白い色をしているのでしょう?
それは、血液が母乳につくり変えられる過程で、血液中の栄養分や白血球は吸収されるのですが、赤血球は吸収されないためです。
赤血球が吸収されないので赤い色はなくなってしまうのですね。
炎症とは?
「炎症」は色々な病気の症状でよく聞く言葉ですが、実際に炎症とはどのような状態のことを指しているのかご存知ですか?
炎症という字を見ると、なんだか燃えるように痛いような、激しく病気にやられているような感じに思えるのですが、実は、体の外から攻撃してきた病原体に対して、自分でどうにかしようとした結果生じているものなのだそうです。
自分自身で炎症を起こしていたなんてびっくりですね。
炎症を起こした場所はしばしば痛くなりますが、それは「この場所が何かおかしいよ!」という、体からのメッセージです。
病原体が体内に侵入して体が異常を感じると、病原体によって壊された細胞などから助けを求める信号が発せられます。
その信号により、いつもは血管内にいる「炎症細胞」(病原体を破壊したり、食べてしまう細胞)が、血管の壁をすり抜けて病原体のもとへ向かっていきます。
なんだか炎症細胞は、レスキュー隊のようでかっこいいですね!
血管も、炎症細胞や壊された細胞を治すのに必要な栄養を供給するために浸透性が高まり、血管自体も新しく作られたりします。
こうして患部にはたくさんの細胞や水分が集まるので、赤く腫れたようになるのですね。
また、炎症細胞は、痛みを感じさせる物質や発熱させる物質を放出して安静に導き、病原体が全身に広まるのを防いだり、傷の治りを早めるように働きかけます。
さらに炎症が続くと、炎症細胞の死骸である膿がたまってきたり、炎症細胞の代わりに結合組織が作られて固くなったりします。
乳腺炎の膿やしこりは、このようにしてできているようです。「炎症」の仕組みを理解することで、乳腺炎など様々な病気の理解がより深まりますね。